栄光学園中学高等学校
「ウェブでお知らせ」の積極的な活用シーンを創出し、サービスの定着化を実現
導入事例
「ウェブでお知らせ」の積極的な活用シーンを創出し、サービスの定着化を実現
学校教育の運営にあたって、家庭と学校の連携は欠かせないものでしょう。なかでも神奈川県鎌倉市の栄光学園中学高等学校では、「親が協力しない限り、学校は無能である」という初代校長、ドイツ人神父のグスタフ・フォス師の言葉をモットーに、とりわけ保護者とのコミュニケーションに注力しています。2008年という早い段階から、学校と保護者の連絡手段としてコミュニケーションサービスを導入している同校にお話を伺い、導入の背景や効果、具体的活用シーン、10年を超える利用期間におけるツールの位置づけの変化などを紹介します。
栄光学園中学高等学校は、1947年横須賀にて産声を上げました。以来「MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS(他者とともに、他者のために尽くす人であれ)」という理念を柱に、社会の問題解決のために進んで奉仕できる人になるよう、高い学力を身に付けるだけでなく、心身を鍛えることや、協調性を育むことにも重点を置いた全人教育を行っています。実際、休み時間になると低層階の校舎を飛び出し、校庭で生き生きと遊ぶ生徒たちの姿は、他校にないものであるといいます。
従来、栄光学園中学高等学校では、保護者への緊急連絡については電話連絡網を活用していましたが、いくつかの課題が持ち上がっていました。副校長を務める林直人先生は、その状況と求められた解決の方向を振り返ります。
栄光学園中学高等学校 副校長 林 直人氏
「当時は、クラス単位で各家庭の電話番号などを記載した連絡網を作成して配布していました。しかし個人情報保護の観点から、個人情報を公開しないで連絡ができる手段を導入する必要があると感じていました。加えて、共働きの家庭が増えてきたこともあり、電話連絡網では全員に連絡が行き届くのにかなり時間を要するという問題も浮上していました。そこで社会環境的にもインターネットがかなり普及してきましたので、メール配信などを行えるITツールの導入を本格的に検討することにしたのです」
こうして、林先生たちは数社のコミュニケーションサービスをピックアップし、検討を重ねていきました。
検討の結果、最終的に採用されたサービスはNTTレゾナントが提供する「ウェブでお知らせ」でした。複数のサービスを検討する中、どのようなポイントが選択の決め手となったのでしょうか。
「まずシステムの仕組みとして、学校側が保護者のメールアドレスを管理する必要がないという点が挙げられます。セキュリティ面でも、運用面でも使い勝手がいいと感じました。国内最大手の通信キャリアであるNTTグループ企業としての信頼感もあり、アドレス管理を任せても安心であろうと判断したのです。機能面では、学校が発信したメッセージに対して既読になったことがわかる点が便利であると思いました。電話連絡とは異なり、メール連絡では相手に伝わったかどうかがわからないという不安がありましたが、メール既読確認機能によって、誰が見たか、誰が見ていないか確認できる機能が非常に助かります」
さらに、機能面ではアルバム機能に対する期待が大きかったといいます。
「保護者の皆さんに利用料金をご負担いただいている以上、親御さんにとっても魅力的なコンテンツを配信する必要があると思っていました。アルバム機能で学校での様子や修学旅行、部活動などの写真をアップできれば、「ウェブでお知らせ」の存在感も高められるだろうという期待感がありました」(林先生)
「ウェブでお知らせ」導入については、保護者からも校内からも支持を得て、2008年12月から栄光学園の新しい連絡機能として稼動をスタートさせました。
これまで10年以上の利用を経て、「ウェブでお知らせ」は栄光学園のコミュニケーションにどのような利点をもたらしたのでしょう。また、その間に使い方の変化などはあったのでしょうか。同校の運営を支える事務室長の古城孝氏は、具体例を挙げて説明します。
栄光学園中学高等学校 事務室長 古城 孝氏
「以前のように連絡が行き届くまでに時間がかかるといった不安は、解消されています。加えて、機能面で助かっているのは、「欠席等届出」機能です。従来は毎朝事務室を開けてから朝礼が始まるまでの時間に職員が電話を受けてメモを担任に渡すという形態を取っていましたが、導入後はシステムで欠席連絡を受け付けますので、作業量は1/3ほど軽減されました。保護者も従来は限られた時間帯に電話をかける必要がありましたが、いまは前夜でも早朝でも届出を送信することができますし、デリケートな理由も、人を介さずに直接入力できるので、保護者側のメリットも非常に大きいと感じています」
アンケートや多目的掲示板などの機能もさまざまなシーンで有効に活用されており、当初はクラスや学年だけだったグループも、部活動の連絡や保護者との交流促進にまで広がりを見せています。アルバムも当初の期待通りに活用され、これまで膨大な数の写真がアップされているとのことです。また同校では、保護者宛てにプリントを配布する際、その内容には触れず、生徒にプリントを配布した旨のみを発信しています。それが保護者と生徒のコミュニケーション促進にもつながっている、という声も聞かれるといいます。
「導入当初はメールアドレスの登録を拒否する家庭もあり、登録率は約80%でしたが、利用が進むに連れて「ウェブでお知らせ」の存在感や信頼感が高まり、現在は登録率100%になっています。緊急連絡を主な目的として導入したわけですが、教員間の連絡にも活用されており、当校のコミュニケーションを担う重要なツールとして定着した感があります」(古城氏)
また、2011年の東日本大震災の際には、帰宅できなくなった生徒の家庭への個別連絡に利用しました。「あの時、各家庭に生徒の安否を直接伝えることができたことは、導入メリットの中でも最も大きなものだったかもしれません」と、林先生は振り返ります。
どのように優れたコミュニケーションツールであっても、その存在感や信頼感が高まらなければ、本当に大事な時に連絡が伝わらない、と林先生は指摘します。活用シーンを積極的に創出して、「ウェブでお知らせ」のプレゼンスを高めていった林先生や古城氏の努力が、まさに実を結んでいるといえるでしょう。
※NTTレゾナントとはウェブでお知らせの旧提供会社でございます。
School Information
神奈川県鎌倉市玉縄4丁目1番1号
1947年にカトリック修道会のイエズス会により栄光中学校として設立。1957年に高等学校を開校し、1964年に現在地である大船に移転した。高校からの入学を募集しない完全中高一貫教育の男子校であり、他者に奉仕するという理念のもと、心身ともに徹底的に鍛えるという教育方針を通した全人教育を目指し、幅広い分野に数多くの人材を輩出している。2017年には、卒業生であり、国立競技場をはじめとする多数の建築で知られる隈研吾氏の設計監修による低層2階建ての新校舎が完成。木材がふんだんに使用され、教室は校庭に面して広く開かれていて、温もりと開放感のある空間をつくり出している新校舎は、2017年度のグッドデザイン賞を受賞した。11.1万㎡(東京ドームの2.4倍)の広さを誇る緑豊かなキャンパスで、生徒たちが生き生きと活動している。毎年、東京大学や国公立大学医学部などへ多数の合格者を輩出する進学校である。